日本の国際競争力の根幹を成すものづくり産業において、「人」は機械設備を利用し、生産性向上とコスト低減を実現することで利便性を享受してきました。そうして所有価値を提供し成長してきたものづくりには今、受け手である「人」の嗜好の変化や価値観の多様化により、使用価値を提供することが求められています。「変種変量生産」への対応が価値創造の鍵となりますが、生産年齢人口の割合の低下が進み、高度な技能の継承が困難になるという警鐘もあります。
「人」が主役となるものづくり革新推進コンソーシアムでは「人」を主役とした考え方に基づいた新しいものづくり手法の確立という喫緊の問題の解決と普及を目的としています。企業の皆様と学術・研究機関を含む産学官のステークホルダーとを結びつける場を提供し、真摯にこの課題に取り組んでいきたいと思います。
会長 産総研 情報・人間工学領域長(理事)関口 智嗣
ものづくり産業は、消費者ニーズの多様化に伴い、必要な価値を必要な人へ必要な時に必要なだけ提供する変種変量生産への変革が迫られている。
一方、日本では、2060年には国民の40%が高齢者という超高齢化社会が到来し、人材の確保・活用の再構築が求められている。
このように市場・製造現場等の環境が大きく変化している今こそ、「新たなも のづくり」の生産手法を確立する必要がある。
具体的には、「人」が主役となり機械と協調しながら柔軟で効率的な生産が可能になる新たな生産手法、「匠(たくみ)の技・熟練者の経験や勘」を効率よく伝承する手法、労働の質(QoW: Quality of
Working)に着目して、各人が 能力・体調に応じて能力を発揮しやすい環境やマネジメント手法などを確立することで、多様な人材が働きながら成長する仕組みの実現を目指す。
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